原則として、未成年者の法律行為は、法定代理人である親権者(両親等)が未成年者を代理して行います。
ですので、未成年者の方が相続人となった場合は、その親権者が未成年者に代わって、遺産分割協議等を行います。
ただし、親権者が未成年者と同じく相続人である場合は、上記の方法をとることが法律上できません。
例えば次のような場合です。
Aさんは、平成26年1月1日、亡くなった。
Aさんは遺言書を作成していなかった。
法定相続人は、Aさんの妻であるB、AさんとBの子であるC・D・Eの計4名である。
AさんとBの子であるC・D・Eの内、Eは未成年者だった。
このような場合、Aさんの遺産分割をするにあたり、Eについて特別代理人(民法第826条)の選任を家庭裁判所に申し立てし、選任された特別代理人と遺産分割協議を行わなければなりません。
なぜでしょうか。
その理由は、親権者であるBの利益とEの利益が相反してしまうからです。
Bは「妻」である立場で遺産分割協議に参加するとともに、Eの「親権者」である立場で遺産分割協議に参加することになります。
そうすると、Bについて、『B自身の利益のみならず、Eの利益も考えて遺産分割することができるのか』、という問題が生じてきます。
したがって、民法は親権者と未成年者との間に利益相反が発生する場合、特別代理人を選任し適切に法律行為を行ってください、と規定しているのです。
注意が必要なのは、次の点です。
①特別代理人は、親権者と未成年者の利益が相反する場合であれば、相続や遺産分割の場合に限らず、その選任が必要となる
②特別代理人を選任しないで行った法律行為は、未成年者が成年に達した後に、その行為を認めないと(当該行為を「追認」と言います。)、法律上、無効である
③特別代理人を選任しないで親権者が行った法律行為が、たとえ未成年者の利益を害していなかった(例えば、未成年者がプラスの財産すべてを相続し、親権者がマイナスの財産すべてを相続するとした)としても、上記②の結論と同じである
上記ケースの場合、不動産の名義変更、預貯金の相続手続きは、特別代理人を選任しないと行えません。
当事務所の代表司法書士村田浩一は、特別代理人選任審判申立書作成のみならず、特別代理人として家庭裁判所に選任され、特別代理人として業務を行った経験がございます。
また、特別代理人を選任しないで、相続手続きが出来る場合もございます。
当事務所は、相談料はいただいておりませんので、お気軽にご相談・お問い合わせください。