こんにちは。
司法書士の村田です。
今回で名変の件は最後になります。
なぜ名変が重要なのか。
所有権移転登記申請に必要な添付書類として売主Aさん(義務者)の、印鑑証明書及び権利証(登記済証若しくは登記識別情報)が規定されています。
権利証は、文字通り当該不動産の所有者であることを証する書類ですが、それだけでは名義変更は行えません。
Aさん(義務者)の印鑑証明書も必要となります。
印鑑証明書には、Aさんの現在の住民票上の住所(倉吉市倉吉町一丁目1番地)が記載されています。
しかしながら、登記簿上は、『所有者 鳥取市鳥取町一丁目1番地 A』と登記されているため、印鑑証明書の住所と登記簿上の住所が一致せず、『Aさんは別人であり、不動産登記法に定めてある要件を満たさない』、と判断され、所有権移転登記は却下されてしまうのです。
私たち司法書士にとって、この名変見落としによる登記手続きに与える影響は、とてつもないものになります。
まず、登記申請が却下されてしまうため、登記手続きが完了しません。
それにより、関係当事者の皆様の権利関係を非常に不安定なものとしてしまいます。
どういうことかといいますと、BさんはAさんに売買代金を支払い所有権を取得してはいるものの、所有権移転登記が却下されてしまい、BさんはB名義での登記ができません。
Bさんは、自分の土地であるにも関わらず、土地の所有権を第三者に対抗できない、といった状態になってしまうのです。
この状態では、実際の所有者はBさんであるにも関わらずAさんが所有者として登記されているままであるため、例えばAさんが上記の事実を全く知らないCさんに土地を売却してしまい、Cさん名義で登記されてしまったら、Bさんは自身の所有権をCさんに対抗できなくなり、所有権の帰趨について負けてしまうことになります。
上記のような理由から、名変は私たち司法書士にとって非常に重要なものになるのです。
かく言う私も、実は最近名変を見落とし、それに気づかなければ危うく登記申請が却下される状況になりそうなことがありました。
そのときは決済の大分前に書類の内容をクライアント様にご確認いただいたため、先方がご指摘してくださり、直ちに修正して事なきを得ました。
本当に危ないところでした。。。
名変。
うっかりして見落とさないようにしないといけません。
村田浩一