こんにちは。
司法書士の村田です。
司法書士の商業登記の仕事の中で、会社の役員変更登記は最もよくご依頼いただくものかもしれません。
さて、役員変更登記には申請すべき期限(登記事項に変更が生じた日から2週間以内)があり、その期限を過ぎても登記の申請は受理されますが、過料が課される場合があります。(会社法第915条第1項、第930条、第976条)
例えば、以下のようなケースです。
事例
甲株式会社
非公開会社である(発行する株式の全部について譲渡制限の定めがある)
役員構成:取締役A 平成19年5月1日重任
取締役B 平成19年5月1日重任
取締役C 平成19年5月1日重任
取締役の員数規定:当会社には取締役3名を置く
取締役の任期:10年
決算期:4月1日から翌年3月31日までの年1期
株主総会開催時期の定め:毎事業年度末日から3ヶ月以内に開催する
のような場合、甲株式会社には取締役の選任懈怠(取締役の選任を怠っている)若しくは取締役の登記懈怠(取締役の選任は行ったが、登記を怠っている)が推察されます。
なぜなら、取締役A、B及びCの任期は、最長で平成29年6月30日までに終了していると考えられるからです。
まずは会社法を見ていきます。
会社法第332条第1項では、『取締役の任期は、選任後二年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとする。ただし、定款又は株主総会の決議によって、その任期を短縮することを妨げない。』とあります。
また、同条第2項で、『前項の規定は、公開会社でない株式会社(監査等委員会設置会社及び指名委員会等設置会社を除く。)において、定款によって、同項の任期を選任後十年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時まで伸長することを妨げない。』とあります。
具体的に甲株式会社に当てはめて考えていきます。
取締役A乃至Cが選任後10年以内に終了する事業年度は平成29年3月31日となり、当該事業年度の末日から3ヶ月以内に株主総会を開催すべき必要があるため、その期限は、平成29年6月30日となります。
選任懈怠であれば、早急に取締役A乃至Cの後任者選任の株主総会を開催すべきですし、登記懈怠であれば、早急に登記申請をすべきであるケースといって差し支えないでしょう。
現行の会社法では、取締役の任期の最長は10年と定めてありますので、下記の全ての要件に該当するようであれば、貴社の役員変更登記がすんでいないケースが考えられると思います。
①株式会社である。
②発行する株式の全部について譲渡制限の定めがある。
③ここ10年近く役員変更登記を申請した記憶が無い。
上記のようなケースに該当される方、該当するかもしれないと考えられる方、また、確認をお願いしたい方がいらっしゃいましたら、当事務所にご相談ください。
村田浩一