こんにちは。
司法書士の村田です。
先日のこと。
一申請情報申請による複数の建物の所有権保存登記を申請しました。
初めての経験でしたので、事前に調査。
一申請情報申請は、
・登記の目的
・登記原因
・当事者
が同一であれば、複数の物件に対する登記申請を1つの登記申請書で申請することが可能となる、申請形態です。
良くあるのは、
複数物件の売買や贈与、相続を登記原因とする所有権移転登記、複数物件に対する抵当権設定登記や抹消登記、
のケースです。
一方で、複数物件の所有権保存登記は中々無いケースです。
私も初めてでしたが、一申請情報申請の要件を何れも満たしているため申請可能、と判断。
先輩にも念のため聞いてみて、申請可能とのことだったので、申請。
無事に登記完了を迎えることが出来ました!
さて、この一申請情報申請。
気を付けなければならないケースがあります。
それは、
ア 建物所有者がA、底地所有者がBやAB共有の場合に、売買や贈与を登記原因として所有権移転登記申請する場合
(所有者が一部若しくは全部異なる場合)
イ 建物、建物底地及び当該地への進入路を売買や贈与により所有権移転登記申請する場合
です。
アのケースの場合、建物と底地の所有者が一部若しくは全部異なるため、
・所有者が一部異なる場合には、登記の目的が所有権移転と共有者全員持分全部移転となり、登記の目的が異なり一申請情報申請の要件を満たさず、一申請情報申請不可
・所有者が全部異なる場合は、登記の目的は所有権移転で同一ですが、当事者が異なるため、一申請情報申請の要件を満たさず、一申請情報申請不可
となります。
また、イのケースの場合は、建物と建物底地は、登記の目的を所有権移転や共有者全員持分全部移転で申請します。
しかしながら、進入路部分は、他の共有者との共有であることがほとんど全てのケースであるため、登記の目的が、所有権一部移転や、A(B)持分全部移転となり、登記の目的が異なり一申請情報申請の要件を満たさず、一申請情報申請不可
となります。
所有権移転登記と抵当権設定登記とを連件で申請する場合、登記申請形態を誤ると取下を余儀なくされるため、致命的な状況になってしまいます。。。
想像しただけで背筋が寒くなります。。。
今日は久しぶりに司法書士っぽいことを書いてみました。
村田浩一