こんにちは。
司法書士の村田です。
権利書に3つの形式があることを前回書きました。
私達司法書士が売買や贈与を原因とする所有権移転登記や抵当権の設定登記のご依頼を受けた場合、必ず確認するのが、権利書(又は登記情報情報・以下『権利書等』と言います)の有無です。
また、登記する土地に分筆(一筆の土地を数筆の土地に分けること)や合筆(隣接する数筆の土地を一筆にまとめること)の登記が入っている場合は、権利書等の確認にはより一層注意します。
合筆の場合は、新しく権利書等が法務局から提供されるため分かりやすいですが、分筆の場合は、新しく権利書等が提供されないため、分筆元の土地の権利書等が新たに分筆によって出来た土地の権利書等を兼ねるのです。
具体的に説明します。
①鳥取市鳥取町1の土地(以下、『A土地』と言います)をA土地を含めて3つの土地に分筆する。
②分筆によって、鳥取市鳥取町1の2の土地(以下、『B土地』と言います。)と鳥取市鳥取町1の3の土地(以下、『C土地』と言います。)が誕生しました。
③これにより、元々一筆の土地だったA土地が、A土地・B土地・C土地の3筆の土地に分かれました。
④さて、B・C土地の権利書等はどうなるのか?
上記の場合、
・A土地の権利書等は、何ら変更なく元々あるA土地の権利書等がそのまま権利書等の効力を有しております。
・B土地及びC土地には、法務局から権利書等は提供されません。A土地の権利書等が、B土地及びC土地の権利書等を兼ねることになります。
最も気を付けなければならないのは、
A土地について一番最初に売買や贈与等によって、所有権を移転した場合です。
この場合、登記申請時に法務局に提供した権利書等をきちんと保管しておかないと、B土地C土地の権利書等が手元に無くなってしまいます。
権利書等は、如何なる理由によっても再発行されません。
権利書等が必要になるのは、不動産を売買や贈与等を原因として所有権移転登記を申請する場合や、不動産を担保に銀行からお金を借りる時等と、しょっちゅうあることではないため、紛失してしまわれる方もいらっしゃいます。
ちなみに、万が一、権利書等を紛失してしまっても、登記は可能です。
しかしながら、手続きに時間や費用を要してしまうため、紛失しないに限ります。
なお、相続や合併を原因とする場合には権利書等を法務局に提供する必要はありません。
一度ご自身の権利書等を確認しておくのも良いかも知れませんね。
村田浩一